河野慶三コラム 人事・総務の方へ

第3回 精神障害の補償状況

精神障害の補償状況:図

 2016年度の「労働者災害補償保険法」にもとづく精神障害の補償状況が厚生労働省から発表されました。上の表には、2000年、2005年と2010年以降毎年の結果が示してあります。請求件数はその年度に請求された件数ですが、決定件数にはその年度以前に請求があり、その年度に決定されたものが含まれています。

 精神障害の請求件数の推移をみると、2016年度は2000年度との比較では7.5倍であり、2010年度と比べると405人増えていて2010年度以降1年あたり57.8人増加していることがわかります。そのうち自殺及び自殺未遂については、2000年度の2倍になっていますが、2014年度の213件をピークにして200件を切る状態になっています。今後の推移がどうなるかについては、まだ的確な予測ができません。

 精神障害の認定件数は決定件数が増えれば増えるので請求件数と同じように比較することはできません。決定件数に対する認定件数の割合でみると、2016年度は36.7%でした。この数値(認定率)は、直近の5年間でみると36.1〜39.0%に分布しており、申請者の3分の1以上が認定されていることになります。そのうち自殺及び自殺未遂については、2016年度の認定率は47.7%でした。直近の5年間は40.1〜47.7%に分布していました。

このコラムの執筆者プロフィール

河野慶三先生

河野 慶三 氏(新横浜ウエルネスセンター所長)

名古屋大学第一内科にて、神経内科・心身医学について臨床研究。
厚生省・労働省技官として各種施策に携わる。
産業医科大学、自治医科大学助教授など歴任。
富士ゼロックスにて17年間にわたり産業医活動。
河野慶三産業医事務所設立。
日本産業カウンセラー協会会長歴任。
平成29年より新横浜ウエルネスセンター所長に就任。